漫画版「大正野球娘。」4巻感想

 冬コミのサークル参加料を振り込んで来ました。オンライン申込みなので登録締切は23日ですが、冬は何事も早め早めの進行を心がけていきたいと思います。

大正野球娘。 4 (リュウコミックス)

大正野球娘。 4 (リュウコミックス)

 ところで、コミケ作業中の真っ只中で買えていなかった漫画版「大正野球娘。」4巻(伊藤伸平徳間書店)をようやく購入しました。RYUでの連載は毎月立ち読み*1で追いかけていたのですが、通して読むとまた違った良さがありますね。連載期間の長さゆえ、原作やアニメではフォローし切れなかったキャラの心情、特に彼女たちの「動機」の部分が丁寧に掘り下げられているところに好感が持てます。
 中でも23話「風たちぬ」での静と雪の会話がとても良い。一番野球が好きでいながら一番他人に隙を見せなかった雪が、一番野球への参加の意志が希薄だった静に、ふともらす本心。それまで接点の薄かった二人ですが、静だからこそあそこで雪の素直な言葉を引っ張り出せたんだと思います。お嬢や乃枝・たまちゃんなんかは明白な動機が先にあるし、小梅はそもそも野球をすることの意味にそれほど自覚的ではない。巴・鏡子・胡蝶に至っては下心から始まっている始末。そんな中で「どうして自分は野球なんてしてるんだろう?」という疑念を一番自覚的に、かつマジメに考え込まざるを得なかったのが静なんですよね。そんな静相手にだからこそ、雪も素直な言葉が出せた、と。アニメでも静のこういうシーン見たかったなぁ。
 さて、4巻最大のサプライズといえば尾張記子*2と塚原須磨子*3の新聞部コンビの登場なわけですが、(原作1&2巻をベースにした漫画版では)本来共演しようのないこの二人がそろって登場し、同じコマに納まっているの姿を目にすると、なんともいえぬ感動を覚えます。良くも悪くも「なんでもあり」といわれた漫画版ですが、ここに来て良い意味で「いいとこどり」ができてきたのではないかなと。
 ひょっとしたら、「漫画版は桜花会の勝利で物語が終わるんではないか?」そんな予感さえ感じられます。原作でもアニメでも朝香中に惜敗桜花会。せめて漫画版でくらい「ありえたかも知れない勝利」を見てみたいと思うのは、欲張りな意見なんでしょうか。

*1:買いなさいよ

*2:アニメオリジナルキャラクター

*3:原作3巻以降登場のキャラクター