「修羅の門異伝・ふでかげ」連載開始

月刊 少年マガジン 2010年 12月号 [雑誌]

月刊 少年マガジン 2010年 12月号 [雑誌]

 先月の「修羅の門・第弐門」連載開始に続き、川原正敏の原作で始まった「修羅の門異伝・ふでかげ」。事前の告知どおりサッカー漫画でしたけど、意外なほどに真っ当な少年漫画でもありました。月マガのページをめくって思わず「あれ?」っとうなっちゃうくらい川原絵に似てますが、作画担当は飛永宏之という人だそうで。よく見るとモブの顔つきやらなにやらが、川原正敏のそれとは確かに違います。この飛永さん、自身の単行本も何冊か出している漫画家さんのようですが、どうやら意図的に原作者の絵に似せてきているようです。器用な人もいるものですね。
 さて、かつて無印「修羅の門」に、主人公陸奥九十九を苦しめた神武館空手南米チャンピオンのイグナシオ・ダ・シルバというキャラクターがいました。彼はもともとサッカーをやっており、そこから空手に転向したという設定のキャラでしたが、本作では念願かなって(?)サッカー・ブラジル代表のピンチヒッター選手*1として登場します。冒頭から、国立競技場での日本代表との親善試合で、いきなりハットトリックを決めちゃうイグナシオですが、彼は試合後のインタビューで意味深な言葉を残します。日本サッカー界の救世主となるような天才が、近々ブラジルから帰国すると。どうやらそれが、本作の主人公「拳将」君のことようです*2。典型的な「陸奥顔」のキャラだったので、てっきり圓明流の縁者か何かかと思っていましたが、さにあらず。イグナシオの空手の師匠である徳光さんの甥っ子だそうです*3。そんな拳将が、ブラジルから帰国して降り立った街は広島県三原市。これまた典型的な川原ヒロインの流れをくむ広島弁の幼馴染「後藤さつか」に迎えられ、二人は今は亡きさつかの父が眠る筆影山*4に向かいます。思い出の山頂で、さつかの父に思いを馳せる二人。空手家の息子である拳将に、サッカーの楽しさを教えたのが幼馴染のさつかの父だったのでした。サッカーを続けるのなら、そのままブラジルにいた方が良かったんじゃないかと問いかけるさつかに、拳将は答えます。
「約束したから‥さつかと 国立行くって」
 いいですね。実にベタかつ王道で、嬉しくなってきちゃいますよ。「天才」拳将はいったいどんなプレーを見せてくれるのか。隔月連載というのが残念ですが、本家「修羅の門」ともども期待していきたいと思います。

*1:という表現はサッカーに使ってもいいのだろうか?

*2:姓はまだ不明。

*3:タヌキみたいなおじさんに似なくてよかったね。

*4:どうやらこれがタイトルの由来のようです。