川原正敏「修羅の門 第弐門」連載開始!

月刊 少年マガジン 2010年 11月号 [雑誌]

月刊 少年マガジン 2010年 11月号 [雑誌]

10月6日発売だと思っていたら既にコンビニの店頭に並んでいました、月マガ11月号。表紙&巻頭カラーを飾るのは新連載の「修羅の門 第弐門」。まさかこの手で「修羅の門」の掲載された月マガを手にする日がやってこようとは。今の川原正敏の絵でこの作品の続きが読めるなんて、なんだか夢のようです*1月マガは普段立ち読みで済ましているのですが、興奮のあまり今月号は買ってしまいました。
 無印「修羅の門」はブラジルでヴァーリ・トゥードを制した主人公陸奥九十九が、まだ見ぬ宿敵ケンシン・マエダに挑むべく南米のジャングルに消えたところで(一時的に)物語が幕を降ろしました。
「伝説はまだ終わらない」
という、煮え切らない言葉を残して。「第弐門」はその直後からではなく、作中で二年十ヶ月もの時が流れた時点で物語が始まりました。読者が望んでいた闘いの結末を描くことなく、いくつもの新たな謎を提示しながら。連載が休止されてから10年以上が経過しているわけで、こういった「仕切りなおし」がされるのも自然なことなのかもしれませんが、それにしても思い切った構成です。作者の真の意図は奈辺にあるのか。
 今回の第一話では、九十九ゆかりの者達が彼のついて様々に語っているだけで、彼自身には一言の台詞もありません。九十九の盟友マッイイツォの口からはただ、満身創痍になりながらもケンシンとの闘いから九十九が生きて還ってきたことだけが語られ、祖父である陸奥真玄は、傷の癒えた孫のことを「壊れている」ままだと評するのみ。一話のラストシーン、覆面を脱ぎ捨てて日本の総合格闘技のリングに姿を現した九十九の姿は様々を憶測を読者に喚起させます。一部では「まさか今更総合をやるの?」との声もありますが、鳴り物入りで再開した以上、そう単純な展開にはならないんではないかと思います。仮に総合をやるとしても、そこではなにかしら新しいテーマが提示されるはず……でしょう。総合格闘技への幻想が打ち破られた(らしいですが、僕はよく知りません)現在にあっても、作者の脳裏には語るに足る「物語」がきっとあるのではないか? 今はただ、漫画家川原正敏のストーリーテーリングの腕を信じて、次号を待ちたいと思います。

*1:僕が作品を知った時、既に連載は休止期間に入っていました。